公認会計士試験を終えて
こんにちは、簿記講師のひなたまです。
先週の金曜から日曜にかけて、公認会計士が実施されました。
それを受けて来たので、ご報告がてら、試験の内容をご紹介しようかと思います。
ですが、先に結論を書いてしまうと、無我夢中だったせいか、ほとんど覚えていないんですよね。
なので、たいした情報は提供できませんが、それでもよろしければお読みくださいませ。
さて、この会計士試験は1次試験と2次試験があり、1次は記号選択問題なので「短答式」、2次試験は記述問題なので「論文式」と呼ばれます。
今回私が受けてきたのは、論文式試験。
これがなんと3日にわたり実施されます。
試験科目は5科目あり、基本的に2時間で、午前と午後の1科目ずつ。5科目の中には1つだけ、試験時間が5時間もあるものも。
そんな、ちょっと過酷な公認会計士試験・論文式を、1日ずつ簡単にご紹介します。
【1日目】
まず、1日目は金曜日にあります。
この午前の部は、全科目のトップバッターですが、これが「監査論」という科目です。
内容は、「企業の決算書を職業的専門家というプロとして、どうチェックすべきか?」なんていうことを論じたりします。
今年は、あやしい売り上げの記録を見せられて、
「どこがあやしい?」「どうチェックするべき?」
みたいなことも聞かれました。
チェックの仕方なんていろいろあるだろって思ったりもするのですが、よりよい方法というものはすでにいろんな人が考えているんで、自分勝手な思いつきでなく、そういう考えられたものを踏まえて答えていく感じになります。
そして、この科目が厳しいのは、なにより時間です。
監査論は具体的な事例の問題をその場その場で考えたりするのですが、それを練習のうちからする必要があります。
私はのんびりタイプで、あわてると意識が真っ白になってミスを連発してしまうのですが、今回の試験でも監査論で何をしたのかほとんど覚えていないほど頭が真っ白になっていたので、とても心配です。
1日目の午後は、租税法です。
この租税法は、法人税と所得税と消費税の3つの内容が一度に問われます。
税理士の試験と比べるとかなり簡単です。やはり税理士さんは税法に関してはすごいです。ただ、簡単といっても税理士さんと比べてって話で、十分に難しい上、一気に3つの税法の計算が問われるので、かなり混乱します。たとえば、「売ろうと思ってた商品を自分で使ってしまったら?」なんて話の、法人税・所得税・消費税の扱いはバラバラで、しっかり覚えたつもりでも、試験本番になるとこんがらがってしまいます。
そして、この科目が厳しいのは、なにより時間です。
とうてい2時間では足りない問題量が出される上に、資料を少しでも読み落とすと連鎖的に間違えることもある、大変なテストです。
私はのんびりタイプで、あわてると意識が真っ白になってミスを連発してしまうのですが、今回の試験でも租税法でどんな計算が大変だったのかすらほとんど覚えていないほど頭が真っ白になっていたので、とても心配です。
【2日目】
2日目の土曜日が、公認会計士としてもっとも大切な会計学の試験です。
この試験は午前と午後に別れていて、午前が管理会計と呼ばれる範囲、午後が財務会計と呼ばれる範囲になっています。
まず、管理会計は工場で作られる製品の原価管理や、企業の予算の管理などをする、会社の中で使われる管理用の会計のことです。簿記2級を勉強されている方なら、工業簿記というのをイメージしてもらえるといいかなと思います。
その工業簿記から、さらに発展して、「どっちのプロジェクト案を選ぶ?」「どの事業部が成績がよいか分析せよ」なんていう、実際の企業の内部管理で行っているような事例の問題も出ます。けっこう面白いです。
次に、財務会計ですが、こちらは帳簿の記入や決算書の作成について問われる科目です。論文式というだけあって、どんな理論で会計が行われているのかをきちんと説明できるかが問われます。会計の計算より、理論の方が多く問われるイメージです。
ただ、会計の理論についてきちんと理解が進むと、会計のことを人にも説明できるようになるので面白いです。簿記講師の私は、やはりこれが一番好きです。
しかし、この科目が厳しいのは、なにより時間です。
管理会計も財務会計も解ききれないほどの問題が出されますし、たとえ得意であっても、得意になればなるほど書けることが増えてしまうので、時間配分には苦労します。
私はのんびりタイプで、あわてると意識が真っ白になってミスを連発してしまうのですが、得意の財務会計では解答用紙のページ数を数え間違えて、最後の15分でもう一枚あることに気づいたほど頭が真っ白になっていた上、そこから先の記憶がぼんやりとしかないので、とてもとてもとても心配です。
【3日目】
3日目、最終日の日曜日です。
この日の午前は企業法で、司法試験の受験生には笑われるかもしれませんが、そういった法律の難しい試験のように、何十行にも渡る文章で法律の事例を論じさせられます。
1次試験の短答式は記号選択式なので、○×クイズのような感覚で細かな知識を覚える必要があったのですが、打って変わって「なぜこの法律はあるのか、その趣旨は?」なんてことばかり答えさせられます。おかげで、勉強方法がガラッと変わり、はじめのうちはなかなか勉強のリズムが作れず苦労しました。
そして、この科目が厳しいのは、なにより時間です。
2時間で、問題文を読み解き、何を書くか考えて、2枚の解答用紙を文字で埋めて埋めて埋めつくすのです。だいたい分量的には、ルーズリーフのノートに8割以上の文字を考えながらびっしり埋めていく感じです。2時間で両面にびっしりです。
私はのんびりタイプで、あわてると意識が真っ白になってミスを連発してしまうのですが、なんと直前に見ていたテキストの内容が出てきてくれたおかげでバリバリ書ける!と思ったけど、テキストに何を書いていたのか思い出せなくて手が止まり、そこから泣きそうになりながら何かを書いたのですが、今も何を書いたのか思い出せないので、とても心配です。
そして午後、長かった試験の最後の科目は、選択科目です。
受験生は、経営学・民法・統計学・経済学の中からどれか1つを選んで解きます。
ですが、民法と統計学と経済学は基本的にスペシャリストが集まる傾向があり、素人が選んでしまうと圧倒的な差をつけられるため、受験生の9割以上が経営学を選びます。
上でも書いた管理会計は内部管理の話ですが、それが経営学にもつながっているので、1からでも勉強しやすいのです。
それになにより、この科目は時間に余裕があります。
時間に、余裕があるのです。
最後の最後で、癒やしの時間ですね。
内容は、経営の理論的なものが半分で、「リーダーシップとは?」「海外進出の戦略とは?」なんてことが問われたりします。経営理論の難易度は、年によってムラがあるのですが、受験生としては基本的なところだけをきちんとやるしか対策はない感じです。
もう半分はファイナンスで、「理論的な株価を求めよ」とか「この状況での企業の価値はいくらか」とか、いろんな計算が出てきます。最初は取っつきづらくて、理解もなかなか難しいのですが、試験本番では簡単な数値例で出してくれるので、きちんと分かりさえすれば高得点も狙えます。
そして、繰り返しますが、この試験は時間に余裕があります。
問題の分量が1時間あまりで解けてしまうほど少ないのです。
私はのんびりタイプですが、それでも十分に時間はあまりました。もう1回解き直すほどの時間はありませんが、見直すぐらいもできました。
やっぱり最後の科目なので思ったよりも集中力が切れていますし、見直しが大切です。
私も見直してみると、「資料のBを使え」というところを「資料のA」を使って解いていたことが発覚しました。ありえないミスです。連鎖的に数問が吹っ飛んでます。もしかしたら、他でもやらかしてるかも……と、次の問題も確かめたら、似たようなミスをしでかしていました。
やばいです。
2連続でケアレスミスが見つかったのなら、他の問題もやらかしている可能性が。
その時点で、残り時間30分ほど。
そこで決断です。こいつは解き直すしかない、と。
もう十分にご存じかも知れませんけど、私はあわてると意識が真っ白になってミスを連発してしまうのですが、そこからもうほとんど覚えていません。解き直しも最後まで到達していないところで答えが違うことに気づいて書き直そうとしてあせってペンを落とし、拾ってもらってお礼を言ったところで「やめ」の合図があったのは覚えています。
思い出すだけで胃が痛くなるほど、とても不安です。
以上、受験の所感を書いてみましたが、一言でまとめると、
とても不安です。
それ以外の印象は覚えていません。
内容的には想定以上にできた方なのですが、3日目だけじゃなく、他の日でもケアレスミスを大量にしていた気もします。
ですが、はっきりと思い出すこともできません。
この試験、時間との勝負をしすぎですね。
これから論文式試験を受けようかなとか思う人には、練習段階から時間を意識した勉強をされることがオススメです。
雑然とした文章で申し訳ないですが、少しでも会計士試験・論文式試験のイメージが伝われば幸いです。
ひなたま