ひなたま屋

簿記の先生で主夫で、京都の写真撮ったり、ゲーム動画作ったり、アニメ見たり、小説書いたり、

【簿記Q&A】連結会計ってそもそも何をしてるの?

Q:連結会計ってそもそも何をしてるの? 教えて、女児アニメ大好きおじさん!

 

 A:はーい、女児アニメ大好きおじさんが応えます。

 キラッと☆プリチャンは意外に2年目で面白さが増してきましたね。

 

 ではなく、連結会計の話。

 この連結会計は、以前だと1級の論点だったのですが、平成27年以降から始まった日商簿記検定の出題範囲の改訂に伴い、簿記2級で学習することになりました。

 なので、簿記2級の中ではとても難しい論点です。

 じっくりゆっくり理解しながら取り組んでいってくださいね。

 

 で、連結会計ですが、現在のビジネスにおいて企業は単体で動くものではなく、企業グループで活動する場合が多いです。

 そのため、会計の情報としては、企業単体ではなく、企業グループ全体の情報も求められるようになっています。

 とくに、親会社の株主には親会社だけでなく、子会社の情報も必要です。親会社は子会社の株式を持っているので、子会社があげた利益は配当となって親会社に流れてきます。

 さらに、親会社は子会社を支配しているので、親会社と子会社をあわせた規模の企業活動が可能になったりします。

 そのため、親会社の株主にとっては、親会社単体でみるよりもグループ全体で見る方が重要になってくるわけです。

 

 で、今、親会社が子会社を「支配」していると言いましたが、この支配が会計的には重要で、子会社として扱うかどうかは、「支配力があるか(支配力基準)」という基準で判定します。

 たとえば、株式を過半数以上持っていれば、その会社の取締役といった経営陣の選任や解任も可能になり、「言うことを聞かなければ取締役は変更な」と言うことができるわけなんです。

 もし、株式が過半数に少し足りなかったとしても、重要な取引を握っていたりすれば、これもまた言うことを聞かざるをえません。こういう実質的に支配している状況があれば、親会社と子会社という関係になっていると考えます。

 

 じゃあ、支配していればなにができるでしょう。

 経営権を支配していれば、その会社の資産・負債をコントロールして企業に活動をさせて、それにより収益と費用を発生させて当期純利益を生み出すことができるわけです。

 なので、連結会計では、企業グループの資産等を全部まとめた報告が求められています。

 そこで、企業グループ企業が単独で作る財務諸表の「個別財務諸表」を、グループ全体で合算した「連結財務諸表」というものを作成するのです。

f:id:hinatamahatebu:20190914143456p:plain

図表1 連結会計の概略図

 

 で、ここに1つポイントがあって、合体するのは「帳簿」ではなく、「個別財務諸表」なんです。

 親会社も子会社も法律上は別の企業ですから、独立して税金の計算を行ったりするため、単独で財務諸表を作っています。それなのに、連結用の帳簿を1から作って期中の処理を全部書いて決算整理して……というのは面倒です。

 なので、できあがった個別の財務諸表を合算して、連結財務諸表を作成します。

 図表には貸借対照表損益計算書しか書いていませんが、株主資本等変動計算書やキャッシュ・フロー計算書なども合算していきます。

 

 こうして合算すれば連結財務諸表のできあがり、といけばいいのですが、ただ合算するだけでは、企業グループ全体としては誤った情報を提供することになってしまいます。

 連結会計では、この合算したところからの「修正」ができるかが問われます。

 以下で、簡単な例をご確認ください。

f:id:hinatamahatebu:20190914145326p:plain

図表2 連結会社間の取引

 単純化して考えるために、親会社と子会社は当期この取引しかしなかったと考えます。

 で、これは何の取引かというと、親会社が子会社に、

親「おい、子会社よ、800でしか売れない商品を1,000で仕入れちまったんで、1,500で買い取ってくれや」

 と言って、

子「(支配されてるしな)は、はい。分かりました……」

 と子会社は商品を1,500で買わされた、という取引です。

 

 子会社は1,500で買った商品を800で売るしかできなかったので、700の損失。

 親会社は1,000で買った商品を1,500で売れて、500の利益。

 

 で、このP/L500の利益をもって、親会社が株主に「当期はもうかったぞ」って言ったなら、株主は納得できませんよね。

 子会社には赤字が出ているので、子会社からは配当が受け取れず、子会社株式の経済的な価値も下がってしまいます。親会社が買った子会社株式。その投資がムダになっている状況です。

 

 そこで、使うのが連結会計です。

 親会社の利益500と700の損失を合算すれば、200の損失。

 これは、企業グループの外部から1,000で買って、外部に800で売ったということを意味することになります。

 こうして合算すれば、企業グループとしての利益が求まるわけです。

 

 ですが、合算するだけだとおかしい部分があります。

 戻って単純な合算の数値を確認していただくとすぐ分かるかもしれませんが、それは「売上高2,300、売上原価2,500」の部分です。

 

 この売上高という情報は、「年商○○円」などと言って、企業規模を表す重要な情報になります。

 しかし、企業グループで言うならば、売上高は外部に販売した800が正しいです。もし、内部での取引が売上高になるなら、親子間で商品を「売って買って売って……」と繰り返すだけで、年商3,000兆円ぐらい余裕になります。

 そこで、連結会計では合算から、連結上の正しい数値に直す修正が必要になります。

 この場合だと、内部取引の売上1,500と仕入1,500部分を相殺して、正しい数値に直します。

f:id:hinatamahatebu:20190914152614j:plain

図表 連結間取引を修正した連結財務諸表

 

 このような修正をいくつか行って、正しい企業グループ全体の会計情報を表示していく。

 それが連結会計となります。

 

 いかがでしょうか。

 過去には簿記1級範囲だった内容なので難しい部分もあったかと思います。ゆっくりじっくり連結会計を理解していってくださいね。

 では、連結や他の内容で分からない部分があったり、女児アニメで知りたいことがあったりしたら、お気軽にご質問くださいませー!

 

連結会計Q&A】

連結会計ってそもそも何をしてるの?

・連結修正仕訳って何なの?