【簿記Q&A】連結修正仕訳って何なの?
Q.連結修正仕訳がよく分からなくて、ただ丸暗記をしているのだけれど、あれはいったい何をしているの? たすけてー、ひなたマン!
A.はーい、簿記会計の疑問に応えるみんなのせんせー、ひなたマンがお応えします!
連結修正仕訳。
この連結会計は、今まで勉強してきた個別の会社が行う仕訳とは全然違うので、仕訳が何を意味しているのか分かりづらいですよね。
(「そもそも連結会計って何?」という人は、前の記事をご覧くださいませ)
まず、この連結修正仕訳って仕訳帳には書きませんし、仕訳なんて書かずに表形式で修正するのが実際だと思います……というと、さらにわけが分からなくなりますね。
なにが言いたいかと言うと、この仕訳は今までの仕訳とは違う、特殊なタイミングで行われる仕訳なのです。
特殊なタイミングとは、なにか?
簿記で日々の取引を記録するときは仕訳帳に仕訳を記入したりしますが、この連結会計はすべての記帳が終わった後の、財務諸表にある数字を修正するものになっています。
個別の会社で日々の取引を経理担当者さんが記録し、そこから個別財務諸表が作られますが、連結財務諸表は財務諸表から企業グループをまとめる親会社が作成するわけです。ちょっと誇張してイメージすると、個別の帳簿は経理担当者さん、連結財務諸表は親会社の連結財務諸表を作成する専門家集団、というようなイメージです。
連結会計専門家集団、強そう。
で、繰り返しますが、連結財務諸表は、個別の財務諸表を合算して親会社の担当者が作成します。
なので、タイミング的には個別の決算整理が終わった後、その財務諸表を持ち寄ってトップの連結担当者がそれらを合算し、そしてより正しい形に修正するという流れです。
上の図は、親会社と子会社の個別損益計算書を合算した後、内部の取引である商品1,500の売買を取り消して、連結損益計算書を作成したというものです。
連結は企業グループの会計ですから、内部での取引は売買でなく商品が移動しただけととらえ、本当に成立したのは外部との取引だけと考えます。
連結会計では、その内部取引などを消去したりする処理が必要になるんですね。
繰り返しますが、タイミングは財務諸表作成後であり、期中にいちいち連結用の仕訳を処理したりするわけではないことにご注意を。
ちなみに、連結会計の話をするとき、親会社はparentの頭文字を取ってP社、子会社はsubsidiaryの頭文字を取ってS社と略されます。
parentは親ですが、subidiaryは子会社を表す英単語だそうです。
https://www.google.co.jp/search?q=subsidiary
少し横道にそれましたが、連結会計の流れは親会社P社が個別の財務諸表を合算し、それを修正するという話でしたね。
その修正なのですが、実際には大量の処理が存在します。
なので、どこをどう書き換えたのかを把握する必要がありますが、その修正は表にしてまとめたり、仕訳の形を使ったメモを作ったりします。
そう。
連結修正のときに残す仕訳の形のメモ、それが連結修正仕訳なのです。
先ほどの例で言うなら、売上高と売上原価の修正にあたるのですが、これをさらに簡略化した例でお話ししてみます。
上の図は、「会計期間において、親子間の商品売買100の取引だけがあった」という状況を表したものです。
これを、まず①個別の帳簿上で見ると、親会社は売上という取引を計上し、子会社は仕入という取引を計上しています。そして、決算を経て、それぞれ個別の財務諸表が作成されます。
次にそれら財務諸表を合算して修正――
と行きたいところですが、実はここで考えるべきなのは、②連結上あるべき姿なのです。
このケースの連結上あるべき姿は、取引なし、です。
外部とはいっさい取引していないわけですもんね。
そうなると、①の個別で計上した、売上・仕入・売掛金・買掛金をすべて消す必要があります。売上は仕入と、売掛金は買掛金と、それぞれ相殺して消去するわけです。
それを行うのが、③連結のための修正で、その仕訳こそが連結修正仕訳なのです。
これをまとめると、連結修正仕訳とは、「合算した個別財務諸表の数値を連結上あるべき姿に変えるための修正を表す仕訳」となります。
①まず個別で計算して、②でも連結上のあるべき姿を考えると適切でないから、③その①と②のズレが直るように修正する仕訳、ってイメージです。
では最後に、これを最初の例に戻って、実際の連結修正仕訳がどう行われるか確認しておきましょう。
実際の連結修正仕訳では、「売上・仕入」という帳簿の科目ではなく、「売上高・売上原価」という財務諸表を表示するとき専用の表示科目を用います。
そして、修正の手順は、
① 個別財務諸表を作成して合算し、
② 連結上のあるべき姿をイメージして、
③ その①と②のズレを連結修正仕訳としてメモをする。
という形になります。
連結の勉強を苦手とされる方で多いのは、③の連結修正仕訳だけを覚えてしまわれるケースです。
スタート地点が①の合算したところであること、そして、とくに②の連結での正しい姿を理解するというところが重要になってきます。
(特に簿記1級やそれ以上のレベルだと、仕訳すら書かずに、連結上のあるべき姿を考えて解くことが多くなります)
と言うわけで、連結修正仕訳のイメージは浮かびましたでしょうか。
今までの処理と異なる状況で行われている処理なので、最初はなかなかつかむのは難しいと思いますが、大切なところなのでじっくり理解していきましょうね。
それではまたご質問、ひなたマンがお待ちしています!