【簿記Q&A】変動予算のシュラッター図の意味を教えてください!
Q.変動予算のところのシュラッター図がさっぱり分かりません。細かい話はいいので、ざっくり教えてください!
A.はーい、お応えします! ざっくり簡単にいきます。
ざっくり言うと、あの図は、製造間接費配賦差異を分析するための図なんです。
差異を2つに分けて、「なんで予定とズレた? 誰の責任か?」を考えるんです。
なのでまず、製造間接費配賦差異を計算します。
製造間接費配賦差異は、
①予定配賦額-②実際発生額=③製造間接費配賦差異
って計算します。
たとえば、配賦率が1時間当たり@10で、操業度(作業時間)が950時間なら、
①予定配賦額=950時間×@10=9,500
となります。そこから、②実際発生額が11,000だったとすると、
①予定9,500-②実際11,000=③1,500
になります。
この製造間接費配賦差異1,500ですが、これは予定よりも多くかかったことを意味しています。
その原因はだれのせいなのか分析しましょう。
そこで使うのが、シュラッター図なのです。
まず、工場の中には、作業時間が変化しても金額が変わらない固定費があります。
たとえば、減価償却費などです。
これはどれだけ効率よく短時間で働いても変わらないので、一定とします。
次に、作業時間が変化すると金額も変わる変動費があります。
たとえば、電気代とかです。
これは予算で「1時間当たり@4円かかるだろう」と前もって決めることができます。
で、たとえば、今月の作業時間が950時間だったとします。
そこで、こんな図を書きます。
この青色の部分が、固定予算の部分です。金額は6,000円で一定です。
そこに、「1時間あたり@4円の変動費があるとして、それが950時間なら、変動費は3,800だ」と計算できます。
この赤い三角形は右に行くほど広がっていきますが、これは「作業時間が長いほど金額が増える」ことを意味しています。
こうして、固定費6,000と変動費3,800が計算できましたが、この合計が予算として許される額「予算許容額」になります。
予算許容額を超えた実際発生額はムダがあったと分析できるんです。
つまり、この場合だと、
予算許容額9,800-実際発生額11,000=1,200
で、この1,200が工場で発生したムダ「予算差異」というものになります。
それを示したのが、シュラッター図です。
では、操業度差異はなにか?
これは差異の残りです。
さっき、製造間接費配賦差異は1,500と計算しましたが、これを予算差異と操業度差異に分けます。
製造間接費配賦差異1,500-予算差異1,200=操業度差異300
と言うわけで、以上をまとめると、
①製造間接費配賦差異を計算する
予定配賦額-実際発生額=製造間接費配賦差異
②予算差異を計算する
予算許容額-実際発生額=予算差異
③操業度差異を計算する
製造間接費配賦差異-予算差異=操業度差異
という形になります。
ちなみに、操業度差異は操業度に比例するので、
(実際操業度-期待操業度)×固定費率
としても求められます。
この場合なら、
(950-1,000)×@6=-50×@6=-300
です。
この計算式をじっくり考えると、操業度差異の意味が分かります。
この操業度差異、「経営者が用意した設備のムダ」が分かるんです。
「1,000時間作業すると予想して、1,000時間の作業ができる設備を用意したけど、950時間で終わった。経営者が用意した工場の減価償却費とかはムダだった」
という感じで分析するんですよね。
差異のデータを集めて、「予算差異は現場の作業員のムダのせいだ」「操業度差異は設備を用意した経営者のムダのせいだ」、なんていう話し合いをするんです。
で、こんな反省会みたいなのを開くときに使うのが、あのシュラッター図なのです。
あの三角形の上下の差異で、工場の現場の人の責任と工場を用意した経営者の責任がそれぞれ計算できてしまう、すごく便利な図なんですよね。
いかがでしょうか。
簡単に説明するため、省略した部分がいっぱいありますので、もっと根本から知りたい場合は、次の記事をご覧ください。
【簿記Q&A】固定予算とか変動予算とかシュラッター図とか、全体的に謎 - ひなたま屋
これらの説明で分からない部分があれば、そこをピンポイントで聞いてくれるとありがたいです。何度も説明しますので!
それでは、難しい内容なので、がんばってゆっくりつかんでくださいねー!