【簿記Q&A】変動予算のシュラッター図の意味を教えてください!
Q.変動予算のところのシュラッター図がさっぱり分かりません。細かい話はいいので、ざっくり教えてください!
A.はーい、お応えします! ざっくり簡単にいきます。
ざっくり言うと、あの図は、製造間接費配賦差異を分析するための図なんです。
差異を2つに分けて、「なんで予定とズレた? 誰の責任か?」を考えるんです。
なのでまず、製造間接費配賦差異を計算します。
製造間接費配賦差異は、
①予定配賦額-②実際発生額=③製造間接費配賦差異
って計算します。
たとえば、配賦率が1時間当たり@10で、操業度(作業時間)が950時間なら、
①予定配賦額=950時間×@10=9,500
となります。そこから、②実際発生額が11,000だったとすると、
①予定9,500-②実際11,000=③1,500
になります。
この製造間接費配賦差異1,500ですが、これは予定よりも多くかかったことを意味しています。
その原因はだれのせいなのか分析しましょう。
そこで使うのが、シュラッター図なのです。
まず、工場の中には、作業時間が変化しても金額が変わらない固定費があります。
たとえば、減価償却費などです。
これはどれだけ効率よく短時間で働いても変わらないので、一定とします。
次に、作業時間が変化すると金額も変わる変動費があります。
たとえば、電気代とかです。
これは予算で「1時間当たり@4円かかるだろう」と前もって決めることができます。
で、たとえば、今月の作業時間が950時間だったとします。
そこで、こんな図を書きます。
この青色の部分が、固定予算の部分です。金額は6,000円で一定です。
そこに、「1時間あたり@4円の変動費があるとして、それが950時間なら、変動費は3,800だ」と計算できます。
この赤い三角形は右に行くほど広がっていきますが、これは「作業時間が長いほど金額が増える」ことを意味しています。
こうして、固定費6,000と変動費3,800が計算できましたが、この合計が予算として許される額「予算許容額」になります。
予算許容額を超えた実際発生額はムダがあったと分析できるんです。
つまり、この場合だと、
予算許容額9,800-実際発生額11,000=1,200
で、この1,200が工場で発生したムダ「予算差異」というものになります。
それを示したのが、シュラッター図です。
では、操業度差異はなにか?
これは差異の残りです。
さっき、製造間接費配賦差異は1,500と計算しましたが、これを予算差異と操業度差異に分けます。
製造間接費配賦差異1,500-予算差異1,200=操業度差異300
と言うわけで、以上をまとめると、
①製造間接費配賦差異を計算する
予定配賦額-実際発生額=製造間接費配賦差異
②予算差異を計算する
予算許容額-実際発生額=予算差異
③操業度差異を計算する
製造間接費配賦差異-予算差異=操業度差異
という形になります。
ちなみに、操業度差異は操業度に比例するので、
(実際操業度-期待操業度)×固定費率
としても求められます。
この場合なら、
(950-1,000)×@6=-50×@6=-300
です。
この計算式をじっくり考えると、操業度差異の意味が分かります。
この操業度差異、「経営者が用意した設備のムダ」が分かるんです。
「1,000時間作業すると予想して、1,000時間の作業ができる設備を用意したけど、950時間で終わった。経営者が用意した工場の減価償却費とかはムダだった」
という感じで分析するんですよね。
差異のデータを集めて、「予算差異は現場の作業員のムダのせいだ」「操業度差異は設備を用意した経営者のムダのせいだ」、なんていう話し合いをするんです。
で、こんな反省会みたいなのを開くときに使うのが、あのシュラッター図なのです。
あの三角形の上下の差異で、工場の現場の人の責任と工場を用意した経営者の責任がそれぞれ計算できてしまう、すごく便利な図なんですよね。
いかがでしょうか。
簡単に説明するため、省略した部分がいっぱいありますので、もっと根本から知りたい場合は、次の記事をご覧ください。
【簿記Q&A】固定予算とか変動予算とかシュラッター図とか、全体的に謎 - ひなたま屋
これらの説明で分からない部分があれば、そこをピンポイントで聞いてくれるとありがたいです。何度も説明しますので!
それでは、難しい内容なので、がんばってゆっくりつかんでくださいねー!
【簿記Q&A】固定予算とか変動予算とかシュラッター図とか、全体的に謎
Q:いきなり固定予算とか変動予算とか出てきて、シュラッター図も何をしているのか分かりません。ナニソレ意味わかんない!
A:はい、お応えします! でも、そのラブライブ1期ネタは6年以上前なのでそろそろ通じなくなるかもしれません……(戦慄)
では、質問に応えてまいります。
ご質問の論点は、簿記2級から現れる「製造間接費配賦差異の差異分析」というものですね。
工業簿記を勉強していると、今自分が何を勉強しているのかを見失うことが多く、そうなると「ワケワカンナイ!」となりますので、気をつけていきましょう。
で、この論点は「製造間接費」なのですが、この製造間接費には基本的なルールがあるのを覚えていますでしょうか?
製造間接費の配賦額=配賦率×操業度
というものです。
って、基本的とか書きましたけど、けっこうな数の人が覚えてないと思うので、その復習からお付き合いください。
そもそも「製造間接費」というのは、製品との直接的なつながりが分からない原価のことです。
直接費なら、「この木材はイスに使ったな」とか分かるわけですが、たとえば、いろんな製品に使われるネジや、工場全体の修理を担当する職人の給料、工場の建物や機械の減価償却費など、各製品にどれだけ原価がかかったか分からないものを、間接材料費も間接労務費も間接経費も、製造間接費として集めます。
それらを集めた上で、
「んー、製造間接費は全体で100万円か。で、イスの作成に15時間、本棚には35時間で、全体は50時間かかった。じゃあ、1時間当たり@2万円で、イスには30万、本棚には70万かかったことにしとこ」
という、かなりざっくりした原価の分配を行うわけです。
これが、
配賦率×操業度=@2万×イス15時間=イスへの配賦額30万
という計算になります。
(操業度は、簡単に言うと工場や人が動いた時間)
製造間接費はいろんな原価が集まっているので、仕方なく、こういう「配賦率」や「操業度」でざっくり配賦することが多いです。
ちなみに、もっと正確に計算しようという目的で作られた、部門別計算などの発展的な計算がありますが、それはまた別の話で。
さて、「配賦額=配賦率×操業度」ということを確認したら、次は「予定配賦」の確認です。
繰り返しますが、製造間接費はいろんな費用が集められたものです。
そのため集計にとても時間がかかる。
なので、1年が始まる前に費用額も操業度もふくめた予算計画を決定し、その予算計画から、
「予算で決めた1時間当たりの製造間接費」
という、「予定配賦率」を決めます。
すべての費用を集計するのは大変ですが、作業時間などの操業度は管理しやすいので、
予定配賦率×実際操業度=配賦額
として、簡単に計算することができるようになります。
こうして予定配賦をすると、すばやく仕掛品に製造間接費が計上でき、仕掛品がすばやく計算できると製品の計算も早くなります。
とくに製品の計算が早くできると、その製品を売るときに「これ、製造原価から見てどこまで値下げしていいかなー」などの経営上の判断もすばやくできるわけです。
でも、実際の製造間接費と予定の製造間接費がピタっと一致することは、ほとんどありません。
そのズレが「製造間接費配賦差異」であり、次のように求めます。
予定配賦額-実際発生額=製造間接費配賦差異
たとえば、「予定では、@1.8×50時間で90万のはずなのに、実際に集計したら100万になったぞ」というときは、
予定90万-実際100万=製造間接費配賦差異-10万(不利差異)
となるわけです。
で、この差異はどうするか?
原価がズレたわけですから、仕掛品や製品の金額も修正――
すると思いがちなんですが、これ、修正しないんです。
先に予定で計算した額でそのまま仕掛品や製品を計算していきます。
「え、じゃあ、さっきズレた10万円分は?」
と疑問に思われると思いますが、たしかに予定の計算より10万円多く原価が掛かっているわけですから、ちゃんと計算に入れる必要があります。
ただし、仕掛品や製品の計算は無視して、差異の全額をP/L売上原価に丸ごと追加します。
「いやいや、改めて計算した方が正確なのでは?」
と疑問が浮かんだ方は、非常に正しいです。でも、しません。
なぜかというと、原価の計算においては適切な計算も大切ですが、同時に原価を管理してよりよく経済活動を行うことも重視されます。
たとえば、「今月の製造原価にムダがなかったか?」を判断するとき、原価がものすごく遅れて計算されると翌月の管理ができません。
なので、「迅速性」といった経済的なメリットも求められるのです。
まあ、そもそも製造間接費の配賦自体が「本当に正確か?」と言われると疑問ですし、基本的に原価差異が少額になるような予算とすることが必要なので、原価差異を丸ごと売上原価にほうりこんでも問題はないと考えられています。
もっとも、異常に多額の原価差異が出た場合は、簿記2級を超える論点ですが、改めて計算することになっていますので、ご安心ください。
と、かなり横道にそれましたが、言いたいのは、
・予定配賦率×実際操業度=予定配賦額
・予定配賦額-実際発生額=製造間接費配賦差異
という2点を確認しておく、ということです。
で、ここまでの話で、仕掛品や製品も計算できますし、ズレた分の差異は売上原価に入れればいいだけですし、これで計算は終了です。
これで計算は終了です。
大事なことなので2回言いましたが、実は、予定配賦額を計算して差異を出せば、財務諸表を作るための計算は終了なのです。(3回も言ったぞ)
で、その計算が終わった後、ようやく本題の論点、
「製造間接費配賦差異の差異分析」
に入るわけなんです。
さて、工業簿記で行う原価の計算って、そもそも何のために行うのでしょう?
先ほどもチラッとお話しましたが、適切な原価の計算だけがすべてではないんです。
それと同じぐらい重要なのが、「原価管理」です。
この原価管理は簡単に言うと、
「製造のどこでムダが生まれて、どうすれば原価を節減できるか?」
と考えて実行する作業です。
この作業のあることが、工業簿記と商業簿記との大きな違いなんですね。
(より正確に言うと、会計士試験などで勉強する「管理会計」と「財務会計」の違いです)
この「製造のムダ」は、まず予算などで「これぐらいかかるだろう」と予測しておいて、その予測と実際の額を比べて、「あれ、実際はもっと多いぞ。ムダが出たな」と判断するわけです。
予定していた額と実際に発生した額の差。
そう、製造間接費配賦差異がこれに当たります。
他にも価格差異や賃率差異がありますね。
で、今回は製造間接費配賦差異を見て、その差異をさらに分析します。
それが「差異分析」と呼ばれる、原価管理のための作業です。
ものすごく簡単に言うと、予定配賦をして製造間接費配賦差異を出して計算が終わった後の、反省会です。
反省会。
「製造間接費配賦差異が不利差異なん、工場長の管理が悪かったんちゃうんか?」
「ちゃうちゃう、計算では配賦差異出とるけど、予算はちゃんと守ったで」
と、製造間接費配賦差異を分析して話し合うわけです。関西弁じゃなくてもいいです。
で、話を真面目に戻しますが、製造間接費配賦差異はそのままだと「原価のロス」もしくは「原価をうまく節約した額」を表しません。
たとえば、以下の例で考えて見ましょう。
・予算で決めた年間の製造間接費120,000円、基準とする1年の操業度12,000時間
※月単位だと、製造間接費10,000、基準操業度1,000時間
・今月の実際発生額は11,000円、実際の操業度は950時間
予算はたいてい年間予算で考えるので、月単位に直すことを忘れないでください。
で、この製造間接費配賦差異を計算すると、
予定配賦率=
製造間接費・年120,000÷年12,000時間=1時間当たり10
予定配賦額=
予定配賦率@10×実際操業度950時間=9,500
製造間接費配賦差異=
予定配賦額9,500-実際額11,000=-1,500(不利差異)
という結果になります。
で、この1,500の不利差異がすべて「工場長の管理が悪かった」となるでしょうか?
たとえば、月単位の予算は10,000と決められているので、
「1,500全部がワシのせいちゃう。予算から見たら、オーバーしたん1,000やで」
という風に考えることもできるわけです。
この図の赤い三角形は、予定配賦額のイメージです。
1時間当たり10増えて(配賦率@10)、それが1,000時間だと10,000、950時間だと9,500というように変動することを表しています。
書いてませんが800時間なら8,000、はみ出しますが1,050時間なら10,500です。
イメージ浮かびますかね?
この赤い三角形の予定配賦額と実際発生額の差が、製造間接費配賦差異となるわけです。
では、この製造間接配賦差異を分析しましょう。
まずは、固定予算で考えます。
この固定予算というのは、「実際操業度が変動しても、金額が変動することのない予算」を指します。
上の例だと、
「実際の操業度が何時間であっても、今月の予算額は月割り計算で出した10,000で固定する」
というケースです。
予定配賦額は「予定配賦率×実際操業度」なので、実際の操業度が変われば予定配賦額も変わっていきます。
ですが、固定予算は予算を10,000と固定します。
最初に決めた予算10,000を基準にして、「そこまでは許すけど、それを超えたら無駄が発生したと考える」とするわけです。
この予算10,000を差異分析では、「予算許容額」なんて言います。
で、実際発生した金額と予算許容額との差を「予算差異」と呼びます。
これは基準となる予算許容額とのズレなので、多くかかればムダ、少なくなれば節約できた、と製造がうまくいったかどうかを判断できるわけです。
この予算差異を製造間接費配賦差異から取り出して計算することが、今回の差異分析の主な目的になります。
では、製造間接費配賦差異1,500から予算差異1,000を取り出したなら、残った500は何になるでしょうか?
これは操業度差異と呼ばれます。
その意味は……固定予算においては、あまり意味はありません。
研究レベルだと意味を与える人もいるでしょうが、このケースだと、余った部分、という理解でいいです。
製造間接費配賦差異が全体で、それを予算差異と操業度差異に分けて分析する。
製造間接費配賦差異1,500=予算差異1,000+操業度差異500
という形です。
なぜ、操業度差異という名前なのかというと、これは操業度を使ったかけ算で求められるからです。
まず、全体の差異として製造間接費配賦差異が1,500あり、それを分割します。
その計算方法は、
・予算差異:予算許容額-実際発生額
=許容10,000-実際11,000=-1,000(不利)
・操業度差異:製造間接費配賦差異-予算差異
または
配賦率×(基準操業度-実際操業度)
=@10×(950時間-1,000時間)=-500(不利)
となります。
なんか操業度差異の計算、面倒ですよね。
「引き算で出せばいいじゃん」と思われるでしょうし、実際、私も固定予算の場合は引き算でさっと出すことが多いと思います。
固定予算の場合は。
ですが、変動予算になると、この操業度差異が意味も計算方法も変わってくるので、いちおう「操業度のかけ算で計算するのね」とだけ見ておいていただければOKです。
さて、これで差異が分析できました。
しかし、ここで工場長は思いつきます。
「ん、生産量をわざと少なめにして原価の額が少なくなれば、節約できたってほめられるんじゃね?」
製造間接費のうち、建物の減価償却費などは生産量が減っても変化はありませんが、電気代など生産量を抑えれば減らせるものはあります。
許される基準としての予算許容額が固定されている状況、つまり固定予算では、生産をわざと少なくして製造間接費の実際発生額を抑えると、「よく節約できた。えらいぞ」とほめられることになってしまいます。
それでは、あまりいい管理ではないですよね。
(ちなみに、固定予算は毎月ほぼ基準通りの操業度になる製造状況で使われています)
そこで考えられたのが、変動予算です。
変動予算とは、実際操業度の変化に合わせて、金額も変化する予算。
操業度が1,000時間のときと、950時間のときは、異なる予算許容額を使おうと考えられたわけです。
では、そこでどう変えたかというと、「固定費」と「変動費」というものに着目し他のです。
製造間接費には、使った量で増減する材料費などと違い、減価償却費や工場の保険料など、操業度が変わっても変化しない原価の部分が多いです。
そこで、予算許容額を考えるときに、
「操業度にあわせて変化しない固定費」と「操業度にあわせて変化する変動費」
を使えば、より合理的に計算できると考えました。
たとえば、今まで見てきた数値例で、その予算計画のときに固定費・変動費の要素も含めて以下のように決定されたとしましょう。
・年間予算の製造間接費120,000、年間の操業度12,000時間
・年間予算のうち固定費72,000、変動費予算は1時間当たり@4
この変動費と固定費の分け方は、CVP分析などの論点で扱いますので、今はとりあえずは与えられたまま使っておきます。
で、この条件で、当月の実際操業度が950時間だったら予算許容額はどうなるでしょう?
まず、固定費は操業度がいくらでも変わらないので、72,000……
ではなく、月割りで6,000ですね。
次に、変動費は1時間当たり@4ですから、
@4×950時間=3,800
これらをあわせると、
固定費6,000+変動費3,800=予算許容額9,800
となります。
これを図表で確認しておきましょう。
こうして予算許容額を求めて、原価のムダである予算差異を分析するわけです。
ちなみに、操業度に合わせて変化する予算許容額を示すのが、黄色の線の「予算線」というものですが、ちょっとマニアックな知識なので、ふーんと流しておいてください。
で、この線に特徴があるんですが、数学が得意な人だと分かりますかね。
この線は、一次関数の方程式になっているんです。
y=ax+b
予算許容額=変動費の比率×実際操業度+固定費
と言うように、「y=ax+b」の公式のようなもので計算できるので、上の形の変動予算を「公式法変動予算」なんて呼ぶこともあります。
こちらは問題で出てくる可能性があるので、意味だけは知っておいてください。
さて、ここまで話してきましたが、もう「予算許容額」と「予定配賦額」は区別できていますでしょうか。
微妙な言葉の違いですが、工業簿記ではこうした言葉の違いがとても大切です。
おさらいすると、
・まず、原価の計算において予定配賦額を計算して、製造間接費配賦差異を求める
予定配賦額-実際発生額=製造間接費配賦差異
・その差異を、原価の管理において、予算差異と操業度差異に分解する
予算差異=予算許容額-実際発生額
操業度差異=製造間接費配賦差異-予算差異
という形でしたね。
以下に、予定配賦額と製造間接費配賦差異のイメージを書きますので、前の図と見比べてみてください。
製造間接費配賦差異の計算に使う予定配賦額は9,500。
予算差異の計算に使う予算許容額は9,800。
どこで使うかイメージして、きちんと区別してくださいね。
で、予定配賦率は@10なのですが、これは変動費率@4と固定費率@6に分解することができます。
上の図では、上向きの三角形と、下向きの三角形が2つくっついているように見えますでしょうか。
上向きの方は@4で広がっていく変動費部分の三角形、下向きのは@6で広がっていく固定費部分の三角形です。
固定費は固定ですから、本来は1時間当たりで変動することはありません。
ですが、予定配賦率は変動費も固定費もひとまとめにして強引に「1時間当たり」と計算してしまっています。
なので、上の図では予定配賦率@10が分かるように分解して計算しています。
ちなみに、前の方で、「製造間接費配賦差異はそのままだと分析に使えない」みたいなことを言いましたが、固定費もふくめて無理矢理「1時間当たり」で計算しているから、などがその原因です。
予定配賦ではけっこう強引に製造間接費配賦差異を求めているんですよね。
だから、差異の分析が必要なわけです。
では、製造間接費配賦差異を変動予算で差異分析しましょう。
まず、予算差異です。
予算差異=予算許容額-実際発生額
ですが、予算許容額はもうすでに計算しているので当てはめていきましょう。
予算許容額9,800-実際発生額11,000=予算差異1,200
固定予算より200増えましたね。
これは予算許容額が操業度に合わせて減った分です。
それに合わせて、操業度差異は、
操業度差異=製造間接費配賦差異-予算差異=1,500-1,200=300
と、固定予算より200減ります。
これで、「予算差異」と「操業度差異」が求められ、差異の中身が分析できたわけです。
上の図の黄色のラインに注目すると、なにか三角形が見えますでしょうか。
この三角形から「ヒラメ図」なんて言う人もいるそうですが、たいていはこの図を開発した人の名前から「シュラッター図」と呼ばれます。
これがなかなか便利な図で、たとえば操業度差異は簡単に求められます。
操業度差異は、製造間接費配賦差異を求め、予算許容額を求めて予算差異を求め、そこから差し引きで計算する……という手順をたどりますが、上の図を利用すれば簡単に求められるんです。
・シュラッター図を利用した「変動予算の操業度差異」
(実際操業度-基準操業度)×固定費率
この場合だと、
(950時間-1,000時間)×@6=300
となります。
式で書くと難しく見えますが、図を書いて計算してみてください。
950時間と1,000時間の差は50、そこに固定費率の@6をかけて計算終了です。
このように、操業度(時間)を利用すれば計算できるので操業度差異と言います、って、もう言いましたっけ、これ。
ちなみに、変動予算になると操業度差異には、少し意味が生まれます。
上記の例だと、予算としては1,000時間の活動ができる固定費が計画されていたのですが、950時間しか結局活動しなかったわけです。
では、この50時間はだれがロスしたのでしょう。
工場が1,000時間動くと考えてその能力にあう設備を用意したのは、経営者と考えられます。でも、実際には950時間しか稼働しなかった。となると、計画ミス。
つまり、操業度差異は経営者の責任、とも考えられるわけなんです。
もっとも、そんなに単純な話ではないので、実際の分析ではもっと深く考えられますが、一点だけ確かなのは、
「操業度差異=現場の製造担当者の管理不能な差異」
ということです。
この管理不能な操業度差異を製造間接費配賦差異から引くことで、よりはっきりとした「現場の責任となる差異=予算差異」が分析できるわけです。
これで差異分析が完成です。
なかなか難しい内容ですよね。工業簿記の最初の壁だと思います。
しかも、検定試験では速く解くことも必要になるため、この図をいちいち考えながら書くのではなく、きちんと覚えた上で、ささっと書く必要があります。
そう、覚えることが必要なんですよね。
私もかなり苦労しました。
ですが、まず一度イメージが納得できれば、ぐっと覚えやすくなるので、がんばって固定予算の図や変動予算のシュラッター図を暗記してみてください。
暗記しようとして、納得できない部分が出てくれば、またご質問くださいね。
丸暗記というと聞こえが悪いですが、使える知識は、頭に定着しないとダメです。
で、頭の中に定着しやすくするには、納得することが大切になります。
暗記して、納得して、暗記して、納得して……と繰り返して、レベルアップしていきましょうね!
それでは、何かあればまたご質問ください!
ここまでお読みいただき、ありがとうございましたー!!
【Q&A】成果連結だとなぜ手形の割引が借入金になるの?
Q.今、連結会計の分野で成果連結を勉強しているのですが、親会社が子会社から受け取った手形を銀行で割り引くと、借入金ってなるんですが、これはなぜですか? 教えて、ひなたまさん!
A.はーい、ひなたまさんが応えます! ちなみにひなたまさんは、ひなたまって名前を響きが「超かわいい~!」って思ってつけたんだよ。30代男性だよ。
はい、成果連結における手形の話ですね。
これを理解するためには、まず手形の財務諸表上の扱いから確認していきましょう。
商品売買に用いられた手形は「受取手形・支払手形」として表示しますが、商品売買で用いた手形と他の手形は分ける必要がありましたよね。
メインの営業(本業とか主たる営業とも言います)が商品売買であるなら、それ以外の取引、たとえば備品を購入したという取引であるなら、「営業外支払手形」として計上します。
これが貸借対照表になると、流動項目と固定項目に分ける必要があり、「短期営業外支払手形・長期営業外支払手形」というような形になります。
で、企業が「期日に必ず支払います!」と約束する約束手形を記入して、この手形を銀行に持っていきます。そして、その当社の約束手形を「必ず払いますから」と銀行に渡し、他の会社の手形を割り引いたときと同じく、銀行から現金を受け取ります。
これ、手形を使ってはいますが、銀行に「期日に必ず払いますから!」と言って現金を受け取っているので、会計的な内容としては、期日までの現金の借入れと同じものとなります。
余談ですが、手形は支払期日を破るとキツいペナルティがあります。
手形を使った借入れは手形を借用証書代わりに使って、必ず返すという約束をするものですから、通常の借用証書より厳しいイメージになります。
しかし、厳しい形式での借入れであっても金銭の借入れには変わりませんので、貸借対照表上では、手形の借入れも他の借入金と分けずに「借入金」と書きます。
なお、これも1年基準の下、「短期借入金」となります。
基本的に手形は短期取引が想定されていますので、指示がなくても貸借対照表上には「短期借入金」と記録するようにしてください。
と、話が長くなりましたが、手形を使った銀行からの借入れは貸借対照表上だと「短期借入金」となることを頭に置いておき、連結会計での処理を見ていきましょう。
上の図表の取引は、親会社が子会社から商品500を仕入れたとき、手形で取引を行ったというものです。
そして、その手形を受け取った子会社が、銀行で受取手形400を割り引いて現金400を受け取ったという形になります。(本来は手形売却損が発生しますが、連結の問題でははたいてい簡略化されます)
これらの取引により、親会社のB/Sには支払手形500が、子会社のB/Sには受取手形100が計上されることになります。
では、これの連結上あるべき姿を考えて見ましょう。
(連結修正仕訳は、①個別を考え、②連結上のあるべき姿を考え、③その①と②のズレを連結修正仕訳とするという流れです。くわしくは過去の記事で)
連結上あるべき取引を考えるときのポイントは、自社グループをひとまとめにして考えるということです。
グループ内の取引は完全に無視をして、自社グループを1つの会社のように考えて取引を見てみるわけです。
すると、売買取引はそもそも存在していませんし、手形を用いた割引は、「自社グループの手形を使って銀行からお金を借り入れた」という取引に姿を変えます。
まとめると、連結上で本来あるべきなのは、自社グループが外部と取引をした、
(借)現金400/(貸)借入金400
という部分だけになります。
この形になるよう連結修正仕訳を書き上げると、以下のようになります。
ここでのポイントは、
(借)支払手形 500/(貸)受取手形 100
/ 短期借入金 400
という仕訳が、「支払手形400を短期借入金になった」というのではないってことです。
個別上の「支払手形500と受取手形500」がまず相殺された上で、個別上の手形の割引取引が連結上ではただの借入金であるため、銀行に渡したのは受取手形ではなく、借用書としての手形なので「短期借入金」になっているということです。
ちょっと複雑になったので、仕訳でも書いておくと、
・まず、内部取引で発生した支払手形と受取手形を消します。
(借)支払手形500/(貸)受取手形500
・そして、グループから見れば手形の割引ではなく手形借入れなので、
(借)受取手形400/(貸)短期借入金400
となり、これを合体させたのが上記の連結修正仕訳になる、という形です。
うーん、なかなか複雑ですよね。いかがでしょう、つかめましたでしょうか。
この個別と連結の違いをスッとつかむのは、みなさん苦労されているところなので、読んでもよく分からなかったとなれば、またご質問くださいね! なんども負けずにがんばっていきましょう!
【簿記Q&A】連結修正仕訳って何なの?
Q.連結修正仕訳がよく分からなくて、ただ丸暗記をしているのだけれど、あれはいったい何をしているの? たすけてー、ひなたマン!
A.はーい、簿記会計の疑問に応えるみんなのせんせー、ひなたマンがお応えします!
連結修正仕訳。
この連結会計は、今まで勉強してきた個別の会社が行う仕訳とは全然違うので、仕訳が何を意味しているのか分かりづらいですよね。
(「そもそも連結会計って何?」という人は、前の記事をご覧くださいませ)
まず、この連結修正仕訳って仕訳帳には書きませんし、仕訳なんて書かずに表形式で修正するのが実際だと思います……というと、さらにわけが分からなくなりますね。
なにが言いたいかと言うと、この仕訳は今までの仕訳とは違う、特殊なタイミングで行われる仕訳なのです。
特殊なタイミングとは、なにか?
簿記で日々の取引を記録するときは仕訳帳に仕訳を記入したりしますが、この連結会計はすべての記帳が終わった後の、財務諸表にある数字を修正するものになっています。
個別の会社で日々の取引を経理担当者さんが記録し、そこから個別財務諸表が作られますが、連結財務諸表は財務諸表から企業グループをまとめる親会社が作成するわけです。ちょっと誇張してイメージすると、個別の帳簿は経理担当者さん、連結財務諸表は親会社の連結財務諸表を作成する専門家集団、というようなイメージです。
連結会計専門家集団、強そう。
で、繰り返しますが、連結財務諸表は、個別の財務諸表を合算して親会社の担当者が作成します。
なので、タイミング的には個別の決算整理が終わった後、その財務諸表を持ち寄ってトップの連結担当者がそれらを合算し、そしてより正しい形に修正するという流れです。
上の図は、親会社と子会社の個別損益計算書を合算した後、内部の取引である商品1,500の売買を取り消して、連結損益計算書を作成したというものです。
連結は企業グループの会計ですから、内部での取引は売買でなく商品が移動しただけととらえ、本当に成立したのは外部との取引だけと考えます。
連結会計では、その内部取引などを消去したりする処理が必要になるんですね。
繰り返しますが、タイミングは財務諸表作成後であり、期中にいちいち連結用の仕訳を処理したりするわけではないことにご注意を。
ちなみに、連結会計の話をするとき、親会社はparentの頭文字を取ってP社、子会社はsubsidiaryの頭文字を取ってS社と略されます。
parentは親ですが、subidiaryは子会社を表す英単語だそうです。
https://www.google.co.jp/search?q=subsidiary
少し横道にそれましたが、連結会計の流れは親会社P社が個別の財務諸表を合算し、それを修正するという話でしたね。
その修正なのですが、実際には大量の処理が存在します。
なので、どこをどう書き換えたのかを把握する必要がありますが、その修正は表にしてまとめたり、仕訳の形を使ったメモを作ったりします。
そう。
連結修正のときに残す仕訳の形のメモ、それが連結修正仕訳なのです。
先ほどの例で言うなら、売上高と売上原価の修正にあたるのですが、これをさらに簡略化した例でお話ししてみます。
上の図は、「会計期間において、親子間の商品売買100の取引だけがあった」という状況を表したものです。
これを、まず①個別の帳簿上で見ると、親会社は売上という取引を計上し、子会社は仕入という取引を計上しています。そして、決算を経て、それぞれ個別の財務諸表が作成されます。
次にそれら財務諸表を合算して修正――
と行きたいところですが、実はここで考えるべきなのは、②連結上あるべき姿なのです。
このケースの連結上あるべき姿は、取引なし、です。
外部とはいっさい取引していないわけですもんね。
そうなると、①の個別で計上した、売上・仕入・売掛金・買掛金をすべて消す必要があります。売上は仕入と、売掛金は買掛金と、それぞれ相殺して消去するわけです。
それを行うのが、③連結のための修正で、その仕訳こそが連結修正仕訳なのです。
これをまとめると、連結修正仕訳とは、「合算した個別財務諸表の数値を連結上あるべき姿に変えるための修正を表す仕訳」となります。
①まず個別で計算して、②でも連結上のあるべき姿を考えると適切でないから、③その①と②のズレが直るように修正する仕訳、ってイメージです。
では最後に、これを最初の例に戻って、実際の連結修正仕訳がどう行われるか確認しておきましょう。
実際の連結修正仕訳では、「売上・仕入」という帳簿の科目ではなく、「売上高・売上原価」という財務諸表を表示するとき専用の表示科目を用います。
そして、修正の手順は、
① 個別財務諸表を作成して合算し、
② 連結上のあるべき姿をイメージして、
③ その①と②のズレを連結修正仕訳としてメモをする。
という形になります。
連結の勉強を苦手とされる方で多いのは、③の連結修正仕訳だけを覚えてしまわれるケースです。
スタート地点が①の合算したところであること、そして、とくに②の連結での正しい姿を理解するというところが重要になってきます。
(特に簿記1級やそれ以上のレベルだと、仕訳すら書かずに、連結上のあるべき姿を考えて解くことが多くなります)
と言うわけで、連結修正仕訳のイメージは浮かびましたでしょうか。
今までの処理と異なる状況で行われている処理なので、最初はなかなかつかむのは難しいと思いますが、大切なところなのでじっくり理解していきましょうね。
それではまたご質問、ひなたマンがお待ちしています!
【簿記Q&A】連結会計ってそもそも何をしてるの?
Q:連結会計ってそもそも何をしてるの? 教えて、女児アニメ大好きおじさん!
A:はーい、女児アニメ大好きおじさんが応えます。
キラッと☆プリチャンは意外に2年目で面白さが増してきましたね。
ではなく、連結会計の話。
この連結会計は、以前だと1級の論点だったのですが、平成27年以降から始まった日商簿記検定の出題範囲の改訂に伴い、簿記2級で学習することになりました。
なので、簿記2級の中ではとても難しい論点です。
じっくりゆっくり理解しながら取り組んでいってくださいね。
で、連結会計ですが、現在のビジネスにおいて企業は単体で動くものではなく、企業グループで活動する場合が多いです。
そのため、会計の情報としては、企業単体ではなく、企業グループ全体の情報も求められるようになっています。
とくに、親会社の株主には親会社だけでなく、子会社の情報も必要です。親会社は子会社の株式を持っているので、子会社があげた利益は配当となって親会社に流れてきます。
さらに、親会社は子会社を支配しているので、親会社と子会社をあわせた規模の企業活動が可能になったりします。
そのため、親会社の株主にとっては、親会社単体でみるよりもグループ全体で見る方が重要になってくるわけです。
で、今、親会社が子会社を「支配」していると言いましたが、この支配が会計的には重要で、子会社として扱うかどうかは、「支配力があるか(支配力基準)」という基準で判定します。
たとえば、株式を過半数以上持っていれば、その会社の取締役といった経営陣の選任や解任も可能になり、「言うことを聞かなければ取締役は変更な」と言うことができるわけなんです。
もし、株式が過半数に少し足りなかったとしても、重要な取引を握っていたりすれば、これもまた言うことを聞かざるをえません。こういう実質的に支配している状況があれば、親会社と子会社という関係になっていると考えます。
じゃあ、支配していればなにができるでしょう。
経営権を支配していれば、その会社の資産・負債をコントロールして企業に活動をさせて、それにより収益と費用を発生させて当期純利益を生み出すことができるわけです。
なので、連結会計では、企業グループの資産等を全部まとめた報告が求められています。
そこで、企業グループ企業が単独で作る財務諸表の「個別財務諸表」を、グループ全体で合算した「連結財務諸表」というものを作成するのです。
で、ここに1つポイントがあって、合体するのは「帳簿」ではなく、「個別財務諸表」なんです。
親会社も子会社も法律上は別の企業ですから、独立して税金の計算を行ったりするため、単独で財務諸表を作っています。それなのに、連結用の帳簿を1から作って期中の処理を全部書いて決算整理して……というのは面倒です。
なので、できあがった個別の財務諸表を合算して、連結財務諸表を作成します。
図表には貸借対照表と損益計算書しか書いていませんが、株主資本等変動計算書やキャッシュ・フロー計算書なども合算していきます。
こうして合算すれば連結財務諸表のできあがり、といけばいいのですが、ただ合算するだけでは、企業グループ全体としては誤った情報を提供することになってしまいます。
連結会計では、この合算したところからの「修正」ができるかが問われます。
以下で、簡単な例をご確認ください。
単純化して考えるために、親会社と子会社は当期この取引しかしなかったと考えます。
で、これは何の取引かというと、親会社が子会社に、
親「おい、子会社よ、800でしか売れない商品を1,000で仕入れちまったんで、1,500で買い取ってくれや」
と言って、
子「(支配されてるしな)は、はい。分かりました……」
と子会社は商品を1,500で買わされた、という取引です。
子会社は1,500で買った商品を800で売るしかできなかったので、700の損失。
親会社は1,000で買った商品を1,500で売れて、500の利益。
で、このP/L500の利益をもって、親会社が株主に「当期はもうかったぞ」って言ったなら、株主は納得できませんよね。
子会社には赤字が出ているので、子会社からは配当が受け取れず、子会社株式の経済的な価値も下がってしまいます。親会社が買った子会社株式。その投資がムダになっている状況です。
そこで、使うのが連結会計です。
親会社の利益500と700の損失を合算すれば、200の損失。
これは、企業グループの外部から1,000で買って、外部に800で売ったということを意味することになります。
こうして合算すれば、企業グループとしての利益が求まるわけです。
ですが、合算するだけだとおかしい部分があります。
戻って単純な合算の数値を確認していただくとすぐ分かるかもしれませんが、それは「売上高2,300、売上原価2,500」の部分です。
この売上高という情報は、「年商○○円」などと言って、企業規模を表す重要な情報になります。
しかし、企業グループで言うならば、売上高は外部に販売した800が正しいです。もし、内部での取引が売上高になるなら、親子間で商品を「売って買って売って……」と繰り返すだけで、年商3,000兆円ぐらい余裕になります。
そこで、連結会計では合算から、連結上の正しい数値に直す修正が必要になります。
この場合だと、内部取引の売上1,500と仕入1,500部分を相殺して、正しい数値に直します。
このような修正をいくつか行って、正しい企業グループ全体の会計情報を表示していく。
それが連結会計となります。
いかがでしょうか。
過去には簿記1級範囲だった内容なので難しい部分もあったかと思います。ゆっくりじっくり連結会計を理解していってくださいね。
では、連結や他の内容で分からない部分があったり、女児アニメで知りたいことがあったりしたら、お気軽にご質問くださいませー!
【連結会計Q&A】
・連結会計ってそもそも何をしてるの?
・連結修正仕訳って何なの?
・
簿記講師が、簿記3級・2級の質問を募集してみた!
オッス、オラ、地方在住の簿記講師。地方で気ままにやってっから、自分の実力ってのがわかんねーぞ。はてなブログっつーでっかい場所で、質問を集めてバンバンこたえてよ、有名会計ブロガーともバトルしてみてえぞ。うひゃー、考えるだけで、オラ、わくわくしてきたぞー!
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最近は簿記2級で税効果や連結会計が出題されてますんで、そのあたりの「基本的な考え方が知りたい」とかでもOKです。
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学習中にどこで詰まるのかを知るのは、やっぱり講義スキルの上昇につながるんで。
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とりあえずは、twitterと質問箱で募集します。
質問箱はtwitterと連動したwebサービスみたいですが、たぶんログインなしで匿名で質問が送れます。
Twitter:https://twitter.com/HinatamaT
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ブログのコメント欄はあんまり使いたくないので、とりあえずこちらでよろしくお願いします。
あとは、三十代の女児アニメおじさんなので、女児アニメの質問も応えられます。プリパラはまだ5周ぐらいしか見てないけど、それなりに応えられるかと思います。
公認会計士試験を終えて
こんにちは、簿記講師のひなたまです。
先週の金曜から日曜にかけて、公認会計士が実施されました。
それを受けて来たので、ご報告がてら、試験の内容をご紹介しようかと思います。
ですが、先に結論を書いてしまうと、無我夢中だったせいか、ほとんど覚えていないんですよね。
なので、たいした情報は提供できませんが、それでもよろしければお読みくださいませ。
さて、この会計士試験は1次試験と2次試験があり、1次は記号選択問題なので「短答式」、2次試験は記述問題なので「論文式」と呼ばれます。
今回私が受けてきたのは、論文式試験。
これがなんと3日にわたり実施されます。
試験科目は5科目あり、基本的に2時間で、午前と午後の1科目ずつ。5科目の中には1つだけ、試験時間が5時間もあるものも。
そんな、ちょっと過酷な公認会計士試験・論文式を、1日ずつ簡単にご紹介します。
【1日目】
まず、1日目は金曜日にあります。
この午前の部は、全科目のトップバッターですが、これが「監査論」という科目です。
内容は、「企業の決算書を職業的専門家というプロとして、どうチェックすべきか?」なんていうことを論じたりします。
今年は、あやしい売り上げの記録を見せられて、
「どこがあやしい?」「どうチェックするべき?」
みたいなことも聞かれました。
チェックの仕方なんていろいろあるだろって思ったりもするのですが、よりよい方法というものはすでにいろんな人が考えているんで、自分勝手な思いつきでなく、そういう考えられたものを踏まえて答えていく感じになります。
そして、この科目が厳しいのは、なにより時間です。
監査論は具体的な事例の問題をその場その場で考えたりするのですが、それを練習のうちからする必要があります。
私はのんびりタイプで、あわてると意識が真っ白になってミスを連発してしまうのですが、今回の試験でも監査論で何をしたのかほとんど覚えていないほど頭が真っ白になっていたので、とても心配です。
1日目の午後は、租税法です。
この租税法は、法人税と所得税と消費税の3つの内容が一度に問われます。
税理士の試験と比べるとかなり簡単です。やはり税理士さんは税法に関してはすごいです。ただ、簡単といっても税理士さんと比べてって話で、十分に難しい上、一気に3つの税法の計算が問われるので、かなり混乱します。たとえば、「売ろうと思ってた商品を自分で使ってしまったら?」なんて話の、法人税・所得税・消費税の扱いはバラバラで、しっかり覚えたつもりでも、試験本番になるとこんがらがってしまいます。
そして、この科目が厳しいのは、なにより時間です。
とうてい2時間では足りない問題量が出される上に、資料を少しでも読み落とすと連鎖的に間違えることもある、大変なテストです。
私はのんびりタイプで、あわてると意識が真っ白になってミスを連発してしまうのですが、今回の試験でも租税法でどんな計算が大変だったのかすらほとんど覚えていないほど頭が真っ白になっていたので、とても心配です。
【2日目】
2日目の土曜日が、公認会計士としてもっとも大切な会計学の試験です。
この試験は午前と午後に別れていて、午前が管理会計と呼ばれる範囲、午後が財務会計と呼ばれる範囲になっています。
まず、管理会計は工場で作られる製品の原価管理や、企業の予算の管理などをする、会社の中で使われる管理用の会計のことです。簿記2級を勉強されている方なら、工業簿記というのをイメージしてもらえるといいかなと思います。
その工業簿記から、さらに発展して、「どっちのプロジェクト案を選ぶ?」「どの事業部が成績がよいか分析せよ」なんていう、実際の企業の内部管理で行っているような事例の問題も出ます。けっこう面白いです。
次に、財務会計ですが、こちらは帳簿の記入や決算書の作成について問われる科目です。論文式というだけあって、どんな理論で会計が行われているのかをきちんと説明できるかが問われます。会計の計算より、理論の方が多く問われるイメージです。
ただ、会計の理論についてきちんと理解が進むと、会計のことを人にも説明できるようになるので面白いです。簿記講師の私は、やはりこれが一番好きです。
しかし、この科目が厳しいのは、なにより時間です。
管理会計も財務会計も解ききれないほどの問題が出されますし、たとえ得意であっても、得意になればなるほど書けることが増えてしまうので、時間配分には苦労します。
私はのんびりタイプで、あわてると意識が真っ白になってミスを連発してしまうのですが、得意の財務会計では解答用紙のページ数を数え間違えて、最後の15分でもう一枚あることに気づいたほど頭が真っ白になっていた上、そこから先の記憶がぼんやりとしかないので、とてもとてもとても心配です。
【3日目】
3日目、最終日の日曜日です。
この日の午前は企業法で、司法試験の受験生には笑われるかもしれませんが、そういった法律の難しい試験のように、何十行にも渡る文章で法律の事例を論じさせられます。
1次試験の短答式は記号選択式なので、○×クイズのような感覚で細かな知識を覚える必要があったのですが、打って変わって「なぜこの法律はあるのか、その趣旨は?」なんてことばかり答えさせられます。おかげで、勉強方法がガラッと変わり、はじめのうちはなかなか勉強のリズムが作れず苦労しました。
そして、この科目が厳しいのは、なにより時間です。
2時間で、問題文を読み解き、何を書くか考えて、2枚の解答用紙を文字で埋めて埋めて埋めつくすのです。だいたい分量的には、ルーズリーフのノートに8割以上の文字を考えながらびっしり埋めていく感じです。2時間で両面にびっしりです。
私はのんびりタイプで、あわてると意識が真っ白になってミスを連発してしまうのですが、なんと直前に見ていたテキストの内容が出てきてくれたおかげでバリバリ書ける!と思ったけど、テキストに何を書いていたのか思い出せなくて手が止まり、そこから泣きそうになりながら何かを書いたのですが、今も何を書いたのか思い出せないので、とても心配です。
そして午後、長かった試験の最後の科目は、選択科目です。
受験生は、経営学・民法・統計学・経済学の中からどれか1つを選んで解きます。
ですが、民法と統計学と経済学は基本的にスペシャリストが集まる傾向があり、素人が選んでしまうと圧倒的な差をつけられるため、受験生の9割以上が経営学を選びます。
上でも書いた管理会計は内部管理の話ですが、それが経営学にもつながっているので、1からでも勉強しやすいのです。
それになにより、この科目は時間に余裕があります。
時間に、余裕があるのです。
最後の最後で、癒やしの時間ですね。
内容は、経営の理論的なものが半分で、「リーダーシップとは?」「海外進出の戦略とは?」なんてことが問われたりします。経営理論の難易度は、年によってムラがあるのですが、受験生としては基本的なところだけをきちんとやるしか対策はない感じです。
もう半分はファイナンスで、「理論的な株価を求めよ」とか「この状況での企業の価値はいくらか」とか、いろんな計算が出てきます。最初は取っつきづらくて、理解もなかなか難しいのですが、試験本番では簡単な数値例で出してくれるので、きちんと分かりさえすれば高得点も狙えます。
そして、繰り返しますが、この試験は時間に余裕があります。
問題の分量が1時間あまりで解けてしまうほど少ないのです。
私はのんびりタイプですが、それでも十分に時間はあまりました。もう1回解き直すほどの時間はありませんが、見直すぐらいもできました。
やっぱり最後の科目なので思ったよりも集中力が切れていますし、見直しが大切です。
私も見直してみると、「資料のBを使え」というところを「資料のA」を使って解いていたことが発覚しました。ありえないミスです。連鎖的に数問が吹っ飛んでます。もしかしたら、他でもやらかしてるかも……と、次の問題も確かめたら、似たようなミスをしでかしていました。
やばいです。
2連続でケアレスミスが見つかったのなら、他の問題もやらかしている可能性が。
その時点で、残り時間30分ほど。
そこで決断です。こいつは解き直すしかない、と。
もう十分にご存じかも知れませんけど、私はあわてると意識が真っ白になってミスを連発してしまうのですが、そこからもうほとんど覚えていません。解き直しも最後まで到達していないところで答えが違うことに気づいて書き直そうとしてあせってペンを落とし、拾ってもらってお礼を言ったところで「やめ」の合図があったのは覚えています。
思い出すだけで胃が痛くなるほど、とても不安です。
以上、受験の所感を書いてみましたが、一言でまとめると、
とても不安です。
それ以外の印象は覚えていません。
内容的には想定以上にできた方なのですが、3日目だけじゃなく、他の日でもケアレスミスを大量にしていた気もします。
ですが、はっきりと思い出すこともできません。
この試験、時間との勝負をしすぎですね。
これから論文式試験を受けようかなとか思う人には、練習段階から時間を意識した勉強をされることがオススメです。
雑然とした文章で申し訳ないですが、少しでも会計士試験・論文式試験のイメージが伝われば幸いです。
ひなたま